大阪府枚方市 K様邸(造作工事完了)
大工の造作工事完了しました。そこで木工事完了時の検査を行います。
検査で最も重視する項目のひとつは、建物の傾斜です。
しかし建築基準法では、建物の傾きについて明確に規定がありません。よって傾きが発生した際に是正する必要があるか否かの判断は非常に難しいといえます。
建物傾斜の目安としてよく利用されるのが『住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準』<平成十二年七月十九日建設省告示第千六百五十三号>の規定です。
第3 各不具合事象ごとの基準
1 傾斜(木造住宅の壁又は柱、床)
3/1000未満の勾配 ・・・構造耐力上主要な部分に瑕疵が
存在する可能性が低い。
3/1000~6/1000の勾配 ・・・構造耐力上主要な部分に瑕疵が
一定程度存する。
6/1000の勾配 ・・・構造耐力上主要な部分に瑕疵が
高い。
この規定により、私の所属する協会も含めインスペクション(建物調査・診断)では、6/1000の傾斜を瑕疵の判断目安として採用している団体が多いようです。
弊社の新築住宅では、最も厳しい基準3/1000未満(構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性が低い)を施工誤差の目標値に定め検査を行っています。
検査では、オートレーザーのスイッチを入れ、壁に照射された縦のラインで壁や柱の施工精度を確認していきます。
写真ではっきりとラインをご覧頂けます。
こちらはウォークインクロゼット内の壁です。
オートレーザーの垂直を示すラインと壁の入隅部が綺麗に一致していることがわかります。
この検査を全ての壁、建具、窓で行いましたが、弊社の施工基準を上回る傾斜は見受けられませんでした。
こちらは室内の壁下地となるプラスターボードを固定するビスピッチを計測する様子です。
周囲200mm以下 中央300mm以下にて施工していきます。
(※一般社団法人 石膏ボード工業会 「石膏ボード施工マニュアル 在来軸組工法 一般壁より)
写真は周囲200mm以内のピッチで施工されている様子です。
余談ですが、写真にある壁の穴は、エアコンスリーブ(エアコンの室内機と室外機を接続するために貫通する穴)です。
一般的には、エアコン設置時にあけることが多いのですが、建物が完成した後に施工すると、開口部の防水処理、断熱材の損傷、構造材(筋交い)の損傷などのリスクが生じるので、弊社では予め設置するようにしています。
こちらは中央300mm以内で施工されている様子です。
全てのビスピッチが規定内に施工されている事を確認致しました。